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< 棒飴とスケートボード >




―――――暗い路地裏のコクリ―トで板きれと遊ぶ少年を一筋の電灯が照らし出す。


ガーッと鳴るその音に交ってポツリとヒロヤの声が聞こえていた。




「――――10万ヒット。意味わかんねぇーし」




―――壁に凭れて棒飴咥えていたムツキは小さな声を聞きとめて首を傾げた。




「――――オイシイってことじゃない?」


意味をわかっているのかわかっていないのか掴みどころのないお人形はふわりと微笑んでいるだけである。

だから、いつだってヒロヤはその言葉の意味を拾い損ねてため息をついてしまうのだ。




「――――――あっそ」

ぼそりと呟かれたその言葉はウィールがコンクリートと出会う音に見事にかき消されてしまっていた。





――――スケボー少年が技に夢中になって親しい友人の存在を忘れ始めた頃、ふっと棒飴咥えたお人形はこちらを見て囁くのである。





「―――――ありがとう」




―――はんなり笑うムツキは果たして空気を読んでいるのかいないのか、その正体をまだ読者も管理人も測りかねているのである。


End.

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