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< 氷帝 >
闇の中、ぽつりとスポットライトの当たるその場所に、高級チェアに足を組んで1人の男が優雅に座っていた。
―――形の良い組手の上で、その冷たい美貌が微笑を作る。
「―――10万ヒットとはな。よくもまぁ、ここまできたものだ」
ソファの背で黒い闇に溶け込むようにしてもう一人の男が立っていた。男がちらりとこちらに視線を流す。
「―――ふっ」
狂犬は不機嫌そうに鼻で笑っていた。
「―――だが、この程度で私を呼び出すとは管理人もまだまだということか。まぁ、いい」
―――そして、久居要は目を細めて冷たく微笑むのだ。
「――――わざわざ足を運んでくれた観客には礼を言わねばな」
途端、要の後ろでは狂犬が不機嫌そうに罵るのだ。
「――――はっ、ご立派だな」
―――――パチン。
形の良い指が鳴るとスポットライトの灯りが一瞬にして消え去った。
「――――妬くな、犬」
再び沈黙した暗闇にそんな言葉が遠く聞こえていた。
End.
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