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ドラム缶バックを肩にかけジャージ姿の陸上部エースは騎士様と呼ばれるだけあって、ペコリと綺麗に頭を下げた。





「――――あの、ありがとうございます」


しかし、その横で腕を組んで仁王立ちの王様は不機嫌そうにただ煙草を吹かしているだけである。




――――そして、じろりとこちらを睨むとその口はしぶしぶ開かれるのだ。







「――――やらねぇぞ」


ふんと鼻を鳴らされてはとても何をとは聞き返せない。



――――横で?マークを飛ばす鈍感な恋人に今日も恋する王様はライバル潰しに余念がないのである。





しかし、我儘な王様もちゃんとわかっているのだ。


――――たくさんの観客のおかげで愛しい恋人と甘い甘い生活が送れるのだと。






「――――また来い」


だから、そっぽを向いて呟かれたその言葉は不器用な王様からの彼なりの御礼なのである。




――――隣の恋人を「いくぞ」と促した王様は今日も当然のようにこの学園の騎士様を連れ去っていく。



二人の消えた後には静かな放課後の校舎が取り残されていた。



End.

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あきゅろす。
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