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< 背中の恐怖 >



Judge not, that ye be not judged.

汝ら人を裁くな、裁かれざらんためなり。




―――この世が因果応報というのなら。







『―――――逃げるの?ここで?』






――――騙しているのか騙されているのか。





始めてしまったゲームの恐ろしさが背中をひたひたと追いかける。


一般寮の廊下を河野真咲は通行人を避けて走っていた。






――――恐怖。



学園の色男がニヤリと笑うたび、背中に走るそれに真咲は気づかないフリをする。





――――知っている。




その目が。

その笑みが。



――――そう語っている気がした。





真咲は唇をぐっと噛みしめる。





Do not count your chickens before they are hatched.


―――雛が孵らぬうちに数えても意味がない。





人通りのない夜の廊下で足を止めると、ぎゅっと拳を握りしめた。





「――――――大丈夫」



湧き上がる不安を感じながら、河野真咲は祈るように呟いていた。





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あきゅろす。
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