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< 道化食い >




ねぇ、教えてあげる。

この世はマスカレード。




――――楽しい仮面舞踏会なんだよ。




そう毎日は楽しいカーニバル。

よそ見をしたらあっという間に食べられる。

油断も隙もないマスカレード。



誰だってクラウンになれる。

誰だってクラウンなんだ。




だから、気をつけた方がいいんだよ。







――――道化を食べる道化食いがいるってことをね。





押し倒された子羊はいつかと同じように蒼白になって逃げようとしたが、以前と違い、迎え入れた獣はそう易々と見逃しはしなかった。



――――その細いの腕は掴まれて笑う口が意味深な言葉を囁く。






「―――――逃げるの?ここで?」


目を見開いた子羊は離された腕を取り戻して、脱兎の如く駆け出して行った。







―――――バタンッ。






閉まったドアに零れるのは愉悦を含んだその笑み。






「―――The longest day has an end.」



どんな長い日も必ず暮れるんだ。

白夜ばかり続かない。





だから。






「――――逃げきれんの?この俺から」



部屋に残された神崎卓は物語のフィナーレが近づく気配に笑っていた。





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