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クールガイの策略





――――5年あったんだぜ。


なぁ、甲斐。








そのうちオマエがここに来んのが何度目か。




―――オマエ。


わかってんのか。








この5年、俺達が顔突き合わせんのは学校か、はたまた夜の街か、それともアイツらの家か。




――――この飽きのくる3択だ。




女の家を泊り歩く根なし草のオマエ家はいつだって蛻の空で。

電話の向こうから聞こえる甘ったるい女の声に腹の底から憎悪が湧き上がる。




―――その胸糞の悪さがオマエにわかるか?






―――目じゃねぇんだよ。


オマエの罰ゲームの怒りなんてよ。





電話口のオマエを無理矢理引きずり出して。

泣いて喚こうが、縋りついて許しを乞うおうがな。

女の臭いを漂わせなくなるその時まで。





―――――ヤり殺してやりてぇんだ、この俺は。






べロチューカマしたくらいで。

今更てめぇに腹殴られようが。

顔に一発入れられようが。





――――その怒りに比べれりゃ可愛いもんさ。






―――それとも何か。




気づいてるからこそ、来ねぇのか。




"ここ"に。




―――――この"俺の縄張り"によ。






――――昔から、オマエ、鼻だけは効くからな。

どんな危険も察知してあっという間にさらりと交わす。

そうゆう逃げ足の早い男だからな、オマエってやつは。








だが、その鼻も随分落ちぶれたんじゃねぇか。






―――――教えてやるよ。



いくら待ったってな。




――――今夜アイツらは来やしないぜ?





――――オマエが来たなら。


アイツらがいる必要なんてさらさらねぇからな。

今頃テレビでも見ながら中止のメールでも見てんだろうよ。




―――だから、なぁ、甲斐。


"ここ"がどこだか知らないわけじゃねぇだろう?





―――ここは"俺の縄張り"だ。


そこに"いる"意味ってやつをさ。






―――知らねぇとは言わせねぇ。



オマエだって男だからな。


"男の部屋に入る"って意味が何なのか。




――――わかってんだろ?











"据え前食わぬは男の恥"だ。



――――もっとも、"据えた"のはこの俺、だがな。








だから、なぁ、甲斐。



―――――オマエ、俺に食われとけ。



End.

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