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セクシーマンの限界




――――余計なもん一つねぇ、黒で統一された生活感のないその部屋は、執着心のないオマエ、そのまんま。



誰が言い出してこうなっちまったのか。

オマエの家なんざ、遊ぶもん一つねぇって言うのにな。



――――マジで恨むぜ。






なぁ、陣よ。

5年も悪友やってんだ。

オマエも少しは気づいてんだろ?



―――この5年。

俺、年に数回も来てねぇよな、ここ。






――――正直、俺はおまえんちが大嫌いなんだぜ?




男のくせに部屋がやたらと片付いてるってのはさ、女の影だろ、やっぱ。

勝手にシンクの食器の数を数えだしちまって、揃いの食器がないことにほっとする大馬鹿野郎なんだ俺は。

ゴミ箱に使用済みのゴムなんて落ちてねぇよな、なんて考えちまってサイテーに凹むね。



―――極めつけはいつも"お綺麗"なベッドさ。


あそこでオマエが女抱いてると思うと、マジ居心地わりぃどころかベッド自体見たくもねぇーよ。






―――だから、なぁ、陣。


俺はこの部屋が大嫌いなんだよ。

否応なく俺に"報われない愛"って奴を突きつけてきやがるこの部屋がな。





――――特に今日なんてサイテーを通り越してもはやサイアクの極みだ。





俺はまだ恨んでんだぜ?

仲間内の目の前で平然とべロチューかましやがって。





―――しかも3分、3分だぞ。

どんだけ長げんだよ。



周囲もドン引きだ、気づけよ。

なのにオマエ、腹に一発入れた俺すら無視しやがったろ?


――――なぁ、くそがっ。





まぁ、空気読まないクールが売りのオマエだ。

仕方ねぇっちゃ仕方ねぇが、これだけは覚えとけ。





――――オマエのシャレはシャレになんねぇんだよ。




いっそ、えげつねぇほどにグロイね。






『―――感じたろ?』




3分間、喧嘩売るぐらい舌絡めてきやがったと思いきや、オマエ、ソレかよ。




ねぇーよ。


それはねぇー。



仲間がいなかったらな、オマエ。





――――そのお綺麗な面、間違いなく殴ってやってたぜ。






―――――冗談は冗談でこそ、おもしれぇんだよ。


一歩でも冗談じゃなくなったならな、そりゃオマエ、タチの悪い胸糞の悪さにしかなんねーだろ。




だから、なぁ、陣。

肝冷やした俺の良心返しやがれ。



――――ついでに3分間、胸躍らせちまったくだらない俺の恋心も一緒にな。






――――ああ、くそがっ。


ったく誰だ、こんな時にオマエ家で飲み会するとかアホぬかしやがった奴は。


やんならやるでさっさと来やがれ。




―――よりによって二人かよ。

最悪なんだよ。





この馬鹿みたいにバクバク言いやがる心臓をさ、いっそ誰か引っこ抜けよ。


勝手にくだらねぇ期待なんて持ちやがるこの頭をさ、いっそ誰か打ち抜けよ。




―――――ああ、くそっ。






なぁ、陣。




―――――俺は、結構キテる。


End.

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