Main < 攻撃 > ねぇ、知ってる? A man's luck depends on his wife. 男の運は女で決まるんだって。 そんな訳がないって? ―――さて、どうだろう? 「―――――会計様、今度は一年の不良と親しくしてらっしゃったらしいよ!?」 「ええ!?この前までどこにでもいそうな平凡に声かけてたんじゃなかったっけ?!」 「転校生に不良に平凡。それでなくてもキングオブワンナイトラブなのに?!一体、会計様の本命って誰なの?!」 「えー!!むしろ知りたくないよ。僕は誰にも本気にならない、誰のものでもない卓様が大好きだ―――!!」 ―――――――――ド――ンッッッ!!!! 学園の廊下と教室を隔てる薄い壁が大きく揺れて爆発音が学園に響き渡る。 途端、氷のように静まり返った通行人は1人の人物に吸い寄せられた。 ―――廊下の壁に手をついて不機嫌なこの学園の君主がそこにいた。 「――――――黙れ。盛りの付いた雌猫が」 酷薄な光をその目に宿し、低く響くその声の誘いに文字通り生徒達は固まっていた。 この学園でもっとも"怒らせてはいけない人物"の琴線に触れてしまったからだ。 ―――しかし、腕をゆらりと降ろした君主は静かに踵を返して消えて行く。 その不機嫌なオーラを放つ背中に貴重な言葉を受けたという密やかな興奮と禁断を犯した罪の重さを感じて雀たちは唾を飲んでいた。 ――――男の運が惚れた相手で決まるなら、俺はどうだ。 「―――――――なぁ、色男」 晃平は自由に遊び歩くタチの悪い相手を思い浮かべ、凶暴な熱情に目を細めた。 The best defense is a good offence. 最大の防御は最高の攻撃なんだ。 ―――だから。 「―――――舐めてると痛い目見るぜ?」 ―――追手の勢いをさらさら止めるつもりのない狼は狐の背を見つめて歪んだ愛に笑うのだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |