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< You are mine >


―――――――数か月前、この学園から愛しい恋人を白昼堂々攫っていったこの学園の"王様"は呆れたため息を吐く。



「――――おまえ、また何つーか・・・馬鹿じゃねぇの」



状況を知った恋の先輩が長年の悪友に言い放ったのはそんな冷たい言葉だった。



ひくっとお綺麗な顔を引きつらせた"王子様"はうろんげな視線でそんな"王様"に目を向けた。


「――――相手の気持ちもわかってて、自分の気持ちも決まってる。なら、おまえ・・・そりゃ"時間潰し"てるだけだろ」


―――自分はどうなんだ。窓にへばりついてため息ばかりだったではないか。


ばっさりと切って捨てた"王様"に"悩める王子様"はそう問いただしたかったが、そうしたところで"正論"なのは変わらないから、"王子様"はただむっとするしかないのである。






――――"好き"だけでは許されないこともあるではないか。


それだけのことをした自覚があるからこそ、我儘な"王子様"は自分の気持ちを伝えることに躊躇しているのだ。

"好き"だって時には変わってしまうから、だから、"騎士見習い"は"お姫様"に私は君の騎士だと胸を張って告げられないでいるのである。


切ない恋に意気地なしとなった"王子様"を見つめて"王様"が「あのお姫様、趣味悪」っと呟いていたのを"恋に怯える王子様"は聞き逃していた。





「―――――そういや、今日、"天使様"告白されたらしいぜ?"時間潰し"もいいが、誰かさんに先越されんなよ」


けれど、そう告げられた衝撃の言葉はさすがに恋に夢中な"王子様"にも届いたらしい。

ピタっと動きを止めたと思えば般若の形相で生徒会室を飛び出していく悪友を他人事な"王様"がやる気なさそうにひらひらと手を振って見送っていた。






―――許してくれないだけならば、いくらだって傍にいて許してくれるまで頑張れる。


だけど、他の人に取られてしまったら、いつか愛しい人の隣に立ちたいというそんな小さな希望まで消えてしまうではないか。


―――なんとしても"お姫様"を独占したい自称"騎士見習い"はこうして廊下を疾走するのである。



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あきゅろす。
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