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< His profile >
「ついこの間まで苛々していると思ったら、今度は随分な落ち込みようだね?」
情事後に熟睡した子羊の髪を愛しそうに持て遊ぶ飼い主を、氷川は苛立たしく見やった。
「―――うるせぇよ」
―――最初から好きになるとわかっていたら、あんな賭けにはのらなかった。
・・・・・好きになるとわかっていたら、今までの全経験を駆使してもっとスマートに、もっとスムーズにあの無口で心優しい青年を手に入れていたはずだ。
「女にでも振られたかい?それとも、・・・逃がした魚は大きかったと今更後悔でもしているのかい?」
にやりと笑った男を氷川はじろりと睨みつけた。
だいたい、このずる賢い男は、氷川が隆也を堕としているうちに、まんまとお姫様を手に入れたばかりか、隆也を抱いた氷川に「賭けは無効」だと全てを破棄したのである。おそらくは初めから隆也が氷川に対して好意を抱いたのを知っていたに違いない。
「―――――つくづく、嫌な男だぜ」
「お褒め頂きましてありがとう」
極上の笑みで微笑んだ男を一瞥して、氷川は校庭に視線を戻した。
・・・・・最も、今更この男の体を手に入れられるとしても今の氷川にはうれしくともなんともなかった。
彼の欲しいのは唯一つ、雨の中傘も差さずに歩く青年の心である。
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