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< 魔法の国 >
――――遠い昔。
ある魔法の国に『哀しいお姫様』が住んでいました。
"愛"を知らない『お姫様』』はいつも哀しい笑顔で微笑んでいました。
そして、いつもお城の窓から"愛"に溢れて幸せそうに笑っている民たちを眺めていたのです。
―――ある日、『お姫様』は何でも知っている『側近』に聞きました。
――――"愛"とは何ですか。
どんな形をしているのですか。
どんな色をしているのですか。
それは美しいのですか。
それとも醜いのですか。
暖かいのですか。
冷たいのですか。
光ですか。
闇ですか。
―――『側近』はこう答えました。
「――――お姫様、"愛"に形や色はありません。それは美しもあり、そして醜くもあります。光であり、闇であり、時に暖かく、時に冷たいものです」
『お姫様』は首を傾げてしまいました。
―――私は"愛を"見たことがありません。一体どんなものなのでしょう。
『側近』はそんなお姫様を見て寂しそうに呟きました。
「―――お姫様、"愛"とは"感じる"ものなのです」
――――しかし、『お姫様』は首を傾げるばかりで、『側近』の表情に気づくことはありませんでした。
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