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セクシーマンの困惑
―――オマエはいつだって"クール"な男さ。
なぁ、陣よ。
どんな女が群がって来ようとも、オマエの目には映らねぇ。
刃物のような言葉を吐き捨てて、顔色一つ変えることなく片っ端らから切り捨てる。
そうして山のように死体が転がったてっぺんで、いつもオマエはどこか遠くを見てるんだ。
なぁ、オマエ、一体いつも何を見てるんだ?
―――"瞳を輝かす"なんて言葉、この5年、俺はオマエに見つけたこともねぇ。
―――だから、何しようと"オマエ"はいつも"オマエ"で、変わるなんて何ひとつない。
昔も。
今も。
これからも。
―――そう思ってたのによ。
なんで今更方向転換なんだよ。
意味わかんねぇよ。
5年も前からそのキャラなのに何で今さらなんだ?
―――俺はマジでぶちキレてんだ。
クールな面して笑ってんじゃねぇよ。
笑えねぇんだよ、この俺は。
ふざけんな。
――はっ、"罰ゲーム"だ?
そんなもん。
いつだっておまえ、平然と無視して来たじゃねぇか。
どんな賭けに負けたって、どんな窮地に追い詰められたって。
嫌なことは全部、そのクールな面で当然のように踏み倒して来ただろ?
刃向かう愚か者は有無を言わさずその腕で殴り倒して来ただろ?
冷酷で残酷で、そのうえ、顔色一つ変えることのねぇおまえに周りはビビって何一つ言えなくて、てめぇがポーカーに負けた時はいつだって、気まずい雰囲気が流れてたんだぜ?
わかってんのかよ?
そのたび、ちくちく突き刺さる"ルール違反"の視線にいつだって俺はか弱い神経すり減らしてんだ。
―――それを何だよ?
"たかがゲーム"だと?
"往生際が悪い"だと?
――――マジふざんけんなよ。
ブラックジャックで負けたぐらいで今更なんだよ。
――――サイテーだ。
長い"初恋"に気づけば瞬間"失恋"で、そのうえお次は"これ"なのか。
それじゃぁ、ちっとも報われねぇのよ、この俺は。
なぁ、陣、マジで。
―――今更口づけされる俺の身にもなれよ。
End.
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