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特別企画小説集
◇愉快・14◇
「……分かった。俺が説明する。何も知らない世界に居るってのも…気分の良いものじゃねぇだろうし
な…」

揃って妙に抗い難い微笑みを浮かべる四人に、ノヴァは何も言い返せず肩を落とした。流されるように、これは自分の役目だと理解する。

ありがとう、とそっと御礼を囁くシェーナの方は見ずに、ノヴァは何から話そうか考えを巡らした。

「髪…は今言ったように人によって色は様々だ。お前等のような茶や、プラチナブロンド…って言うのか、そういう髪色の奴も居る。だから…そうだな、髪の色は何色でも問題視されることは無い」

“問題視されることは無い”…そう言い終えてノヴァはシェーナとルーアンの方に目を向ける。
二人もまたノヴァに向かって緩く微笑んでいたが、話を聞く眼差しは真剣で。
その瞳には、ほんの微かにだけ感情の揺らめきが映るが、それがどのような感情かはノヴァに推し量る由は無い。

しかし、その揺らぎを何となく知っているような想いと共に、くすぶる疑問は再び胸の内へと消えて行った。
そして、ノヴァは話を続ける。

「……問題なのは髪の色より瞳の色だ。この世界には能力を持つ人間と、持たない人間が居る。前者は後者に魔術師と呼ばれていて…、魔術師の特徴は……能力を持たない人間と特徴が茶色の瞳を持つのに対し、魔術師は茶色以外の色の瞳を持つ」

一言一言が重なっていくに従って、シェーナとルーアンの表情が驚いたそれへと変わって行く。

ノヴァは二人の様子を伺いながら一呼吸付き、

「だから…お前等だと…あー……シェーナは能力を持たない人間、ルーアンは魔術師として見られることになる。瞳の色は血統によって決まっていて、その血統によっては恐れられたり忌み嫌われたりする時もあるが…、その藍色なら大丈夫だろ」

途中困ったように顔をそむけながら何とか最後まで言葉を繋ぐと、ルーアンの藍の瞳を真っ直ぐに見た


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