特別企画小説集 11 『もう…いい』 『……』 『もういいんだ。皆死んでる。……頼む、止めてくれ。…これ以上続けたら、今度はお前が死んでしまう』 声に、振り返ることは出来なかった。 地に膝を落として、虚ろな瞳で前方だけを眺めて。 『ははは…あははは……あはははははは…っ』 乾いた笑いを、穏やかな低音が包んだ。 『あの場から一歩も動けなかった…不甲斐ない俺の代わりに、ここを取り戻してくれてありがとうな。皆が愛し…アラマンダが最期まで案じたこの場所を、守ってくれてありがとう……アズロ』 ジェイの瞳は、赤く腫れていて。 それでも雨の中、いつものように、強く笑った。 その笑みは、どこかアラマンダと似ていて――… 『う…っく……う…あ……うわあぁああぁぁぁぁーーーっ!!』 解らなかった。後で解った。 それは、慟哭というのだと。 [*前へ][次へ#] [戻る] |