Heの小説
プロローグ
星の瞬きは月明かりと街の灯に消されていた。
眼下には真っ直ぐに伸びるような日本一長い直線と銘(めい)うつ二車線の国道、道沿いの建物の明かりは既に落とされており点いているとしたらコンビニくらのものだろう。
少年は塗装のはがれ欠け所々錆び付いた陸橋の上で独り待ち人を待つ。
風は無風に近く気温は厚手のジャンバーを一枚羽織ればさほど寒くはない。
日本一と銘うつ割には夜になると長距離トラック位しか通らなく人通りも無く等間隔の街灯が無機質な銅色の明かりを振りまく。
そんな風景を無意識に只見つめる。思考が巡る堂々と巡る落ち着く先は無い、只環状線のように巡る。
そんな時にやっと待ち人が来たようだ。
背後から聞こえる数人の声、鉄製の階段を上る独特の籠もったような音が重なり不適当に聞こえてくる。
そして背後に人の気配、付け加え一言
「悪い、遅くなってしまった」
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