全部知ってたのよ。 十四郎さん、私全部知ってました。 あの時告白しても無駄だって。 命をかけて戦う戦前に貴方に、 知ってました。 でもね、最期だから、 十四郎さんとはもう会える気がしないの。 総ちゃんも居たこの家で一人は寂しいわ。 でもね、今貴方達もきっと頑張っているから、私は何も言わない。 総ちゃんにはお金の部分で迷惑をかけてるわね。 毎月仕送りしてくれて、治らないって分かってるのよ。 でもね、諦めないわ。 「ケホッ、ケホッ。」 もう時間が無いわね。 十四郎さん、全部知ってるから気にしないで。って伝えたい。 総ちゃんにも会いたいわ。 最期に江戸に行こうかしら、 「十四郎さん、嫌ですよね…」 それでも、顔が見たいの。 全部知ってるから。 [*前へ][次へ#] |