1.出逢い みんなは宝寿学園という学校を知っているだろうか?普通科にくわえ、特進科という特別学科のある学校を。 アシスタントの彼女が探し出してくれた中から、僕はこの学園を選んだ。 そして少し時間は戻し、僕は今、その編入のための手続きをしているところだ。 『君の場合、顔が世間に出ていなくても特進科への編入になるから』 「えっ…あ、はい」 『安心してくれていいよ。みんな有名人ばかりで逆に騒がれることはないからね』 「あはは…そんな、僕は…」 『いやいや、君の活躍は聞いているよ。よくここを選んでくれたね』 「っ…いえ…」 僕は、素顔を晒したことがない。それはこの僕が望んだことであり、握手会やサイン会はマスクなどでわざと顔を隠していた。 それくらいしてもいいから、出てくれといわれたから…。 だから、正直いうと普通科に通えると思っていた。そうはいかないらしいけど、小説を書け、といわれるわけではないのなら仕方ない。 特進科の説明を聞きながら僕は様々な書類にサインをしていった。編入手続きに、学費のこと、それから…マンションの契約書。 [*前へ][次へ#] [戻る] |