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「ぅ、わ…凄い…」


 中に入った僕は、思わず声をあげてしまった。
 中学のときの図書室を思い浮かべていたんだけれど、ここの図書室はもう部屋というより館だ。
 パッと見でも奥行きがあって広いということが分かるし、背の高い本棚には本がギッシリと詰まっている。本好きにはたまらない場所だ。
 僕は奥の方から順番に見ていこうと足を向けた。紙とはまた違う本の匂い、ああ、癒やされるなぁ…。


「………ハルちゃん?」

「……え?」

「あれ? 誰?」

「あ、あの…え、誰といわれましても…」


 突然声をかけられ、僕は足を少し出した変な形で止まってしまった。一番奥にも本を読むスペースがあり、そこに人がいたのだ。
 そんなスペースがあることも、人がいたことにも気づかなかった僕はただ困ってしまった。
 しかも、誰かを待っていたみたいだ。


「あーあ、ハルちゃんだと思って期待した僕がバカだった。何、早く出てってよ」

「ぇ…あ、でも、」

「何、君がどんなつもりで来たかは知らないけど、僕は何もしないよ。帰って」


 その人の第一印象は、最悪だった。これも本人に許可をとったから載せるのだけれど、決して引かないであげてほしい。
 彼もまた、たった一人の人を好きになっただけなのだ。この不機嫌な口調も、その子が来るのを待っていたからなのだ。



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あきゅろす。
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