2.変化
「嬉しいなぁ星大と手を繋いで歩けるなんて。それになんか、優秀な弟を持った兄の気分」
「なっ…何ですか、それぇ…」
「自慢したくなるってことだよ」
イタズラな笑みも綺麗だ、なんて相手に失礼だろうか?
でも僕はこのときそう思い、そして先輩にならどんな自慢の仕方も許してしまうだろうとも思った。
だから、男同士で嬉しそうに手を繋いでいる、なんて気にならなかったのかもしれない。
【あなたの手がとても優しいから、だから私は勘違いをしてしまいました。私はその勘違いに、その手に甘えたくて仕方ないのです。
どうか、どうか中途半端な優しさはお止めになって下さい…】
僕は本を読むことが好きだ。もちろん書くことも好きなのだけれど、もとは本が好きで書くようになったのだから。
最近は外に出ることもなく、よく考えれば大好きな本を手にとることも少なかったかもしれない。
そう思ってお昼休み、昼食を終え図書室にやってきた。
翼先輩に案内されてから初めて来たけれど、迷わずこれたことにまずホッとする。
ここらへんは食堂に比べて静かだ。もっといえば人が全くいない。
本を読んだりしないのだろうか?そうだとしたら悲しい、そんなことを思いながら図書室のドアを開けた。
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