、
どうしてだろう、そこからじんわりと暖かくなっていくようだ。
僕はその手に体を任せた。
「……でも…」
「……?」
「疲れたってことは、嫌いになったわけじゃないんでしょう?」
「ぁ…はい。書くことは、大好きです」
「なら、ゆっくり休むといいよ。自信なら僕が取り戻させてあげるしね」
なぜか自信満々にそういった未來先輩に、僕はへっとマヌケな声を出して先輩を見上げた。
天使のように優しく微笑んでいる先輩だが、このときの僕はあまりいい予感はしなかった。そしてそれは、虚しいことに当たることとなる。
再び椅子に座らせた先輩は、ゆったりとした口調で、……僕の本の感想を述べ始めた。
「大志くんの本に出会ったのは…今から2年近く前、かな?僕はもともと本が好きで、そのときも軽い気持ちで手にとったんだ。
でも読んでみて、とても心が惹かれたよ。中学生なのに、なんて気持ちの入った本なんだろう…って」
思わず泣いちゃった、という未來先輩に、僕は胸を締め付けられた。
僕の処女作、それは投稿した、今の僕からすれば本とは呼べないもの。ただ、内容は一番思い入れのある作品だ。
なにせそれは、そのときの僕の気持ちと願いがそのまま書かれたものなのだから。
だから泣いた、なんて僕にはもったいない言葉である。
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