、 ──キーンコーン… 『終わったー』 『お昼お昼っと』 「あ…っ…、」 ああ、どうして話しかけることが出来ないんだ。伸ばしかけた手を引っ込め、人の流れに沿って "食堂" とやらに行ってみることにした。 初日ということもあり、道や校舎の造りは全く分からない。ここでの僕は、ちっぽけな人間だ。 寂しいけれど、それが嬉しかった。 「ここ…?どうするんだろ…」 生徒数が多いからだろう、驚くほど広い食堂だ。レストランといっても過言ではないのだが、学食というのは初めてでシステムが分からない。 僕は入口に突っ立ったままあたりを見回し、真似が出来ないかと人を探した。 ところがみんなすぐ席についてしまい、僕は余計混乱してしまう。 それになぜか見られている気がする…こっちの、特進科の入口から入ってきてるからだろうか? そんなに珍しいものなのだろうか…不思議だ。 「おいおい、何してんだーこんなとこ突っ立って」 「っ、え…!?」 『『キャー翼くーんっ』』 食堂にいた女の子たちの悲鳴のような歓声が鳴り響く。それに僕は眉をしかめつつ、声のした後ろを振り返った。 んー?と首を傾げて僕を見る…ツバサくん。特進科の生徒だろう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |