、 「うわ…綺麗なマンションだな…」 マンションの前でその建物を見上げ、僕はみっともないくらい口をポカーンと開けた。 建てられてからそれなりの年数は経っているはずなのに、全く見劣りをしていない高層マンション。 僕は今日からここの住人になるのだ。 『星野さんの部屋は3階の一番奥になります』 「はい、今日からよろしくお願いします」 『ここはオートロックだから鍵には気をつけるんだよ』 よくいるんだ、忘れる子が。と笑う管理人さんに、僕も笑って気をつけると返した。気さくそうな人で良かった。 僕はそれから鍵を受け取り、引越業者の人と共に自分の新しい部屋へ向かった。 廊下では誰ともすれ違うことなく部屋にたどり着き、少し緊張をしながらドアを開ける。 何もない部屋に、僕は寝っ転がってしまいそうになった。けれどもそこはグッと理性を持ち出し、後ろで待っている人たちに家具の置き場を指示する。 僕が運べないようなベッドや洗濯機、冷蔵庫。 「他は空いてるとこに置いといて下さい」 『はい。パソコンはどうしますか?』 「……え、あ…設定お願い出来るんですか?」 『はい、今サービスで接続まで行っています』 「じゃあお願いします」 [*前へ][次へ#] [戻る] |