26 かぁいい雨音を手放すのは惜しいけど。 目の前の光景を嫌悪感いっぱいで見ている卯月は、雨音を帰すことにした。 こう…うまい具合に目隠ししたまま雨音を抱き上げて、階段のとこまで。 まー帰るっていっても、そっちも今ごろカオスな状態になってるだろうし、元々の原因はこの子なんだけどね! 「……チョコ、サンキューな」 「なはは、お礼は3倍といわず10倍でよいよ」 「クッ…分かった、楽しみにしてろ」 「おぉう男前…うーちゃん好き!僕最新の顕微鏡欲しいっ、じゃーねー!!」 「……買えってか…」 混乱の元なのにお礼をもらおうとするどころか、ちゃっかり希望までいってった雨音。 でも卯月は怒るどころか愛おしそうに目を細めた。 いやん、恋は盲目って、盲目すぎてもうなんか実は失明してんじゃね?頭イっちゃってんじゃね?って感じだよね。 あの雨音に恋、なんて。 さーてさて、本校舎へ戻ってきた雨音さん。授業どころじゃなくそこら中で騒いでいるのを見て、口元だけのニヤニヤ止まりません! 胸ポケットからなんか分厚いデジカメを取り出して、パシャパシャ撮ってます。 [*前へ][次へ#] [戻る] |