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かぁいい雨音を手放すのは惜しいけど。
目の前の光景を嫌悪感いっぱいで見ている卯月は、雨音を帰すことにした。
こう…うまい具合に目隠ししたまま雨音を抱き上げて、階段のとこまで。
まー帰るっていっても、そっちも今ごろカオスな状態になってるだろうし、元々の原因はこの子なんだけどね!
「……チョコ、サンキューな」
「なはは、お礼は3倍といわず10倍でよいよ」
「クッ…分かった、楽しみにしてろ」
「おぉう男前…うーちゃん好き!僕最新の顕微鏡欲しいっ、じゃーねー!!」
「……買えってか…」
混乱の元なのにお礼をもらおうとするどころか、ちゃっかり希望までいってった雨音。
でも卯月は怒るどころか愛おしそうに目を細めた。
いやん、恋は盲目って、盲目すぎてもうなんか実は失明してんじゃね?頭イっちゃってんじゃね?って感じだよね。
あの雨音に恋、なんて。
◆
さーてさて、本校舎へ戻ってきた雨音さん。授業どころじゃなくそこら中で騒いでいるのを見て、口元だけのニヤニヤ止まりません!
胸ポケットからなんか分厚いデジカメを取り出して、パシャパシャ撮ってます。
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