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まぁでもこれくらいなら…と、みんなが思っただろう。無事に席についたクラス…特に雨音を見て、担任を務めてきた霜月はホッと息を吐いた。
その後、A・B・C・Dと席につき、音楽がプツリと途切れる。
不満そうなのが約一名、無視をして式を進めましょー。
『これより、第──……』
◆
開式の言葉、わけの分からない話。
それらは開始10分程度で済み、いよいよ卒業証書授与、だ。
ピシーン!と背筋を正したまま身動き一つしなかった雨音だが、それが近づくにつれ、なんだかそわそわし出した。
Sクラス、みんなして心配そうに雨音を見ています。
あ、雨音が心配なんじゃなく、式が無事進むかっていうのがね。
『卒業証書、授与。Sクラス、起立』
──ガタ
イスのズレる小さな音。
立ち上がった20人ほどの中に、雨音はいた。体が揺れている。一目瞭然だ。
……が、雨音よりも前に座っている睦月と弥生は気づいていない。残念っ!
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