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『卒業生、入場』
「……雨音、あとでワガママ聞いてあげるから、式の間はとにっかく静かにしてるんだよ」
「ブ、ラジャーッ」
(ほんとに分かってるわけ…?)
(あ、雨音がブブ、ブラジャ…ッ)
いよいよ式は始まった。
音楽が流れ出し、Sクラスから行進して入場していく。
といってもマジメに行進する人なんて……あ、いた。
イッチニ、イッチニと手足を大きく振り上げるそれは、卒業式というより運動会の行進。
前後…前は弥生なのだが、ビシビシ当たって痛そうだ。
動き出してからは当たらなくなったから止めなかったけど。
弥生くん、マジメってわけじゃないから自分に被害がなければそれでOKだしね、うん。
──ザワ…ッ
(右、左、右、左……あ、ヤバ、手足一緒に出ちゃった。ププッ)
((水無月先輩だ…チョーこえーっ))
1人ニヤニヤして手足をジタバタさせる雨音。全校だけでなく、保護者や来賓客までもが顔を青くした。
恐るべし水無月雨音!
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