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この2年間、それはもうこの学園は雨音ワールドだった。
オタクがやってきたと思ったら生徒会を虜にし、あの桜庭卯月まで仲間に引き入れ、実はオタクゴッコだと思えばなんか訳の分からない平凡だったことが判明して?
実験だの解剖だのたくさんしたなー…なんて、過去を振り返らないのが雨音である。
その代わり周りは遠い目で語るのだ、まさに地獄だった、と。
「はぁ…ホンマに卒業して離れ離れになるんやな…」
「辛気くさい顔しないでよ、分かってたことじゃん」
「せやかて!雨音にもう会えななるんやでっ!?」
「エーンむっちゃんサミシイヨー」
「あ、雨音ぇえっ」
棒読みだけど。
涙のなの字もないけれど。
それに悲しいかな、雨音の卒業を惜しんでるのは睦月 (+弥生が少し) だけなのだ。
みんなやっと解放されると喜びまくっている。
((いや、ホント地獄だったんだって!!))
「それよりも早く移動するよ。今日は通しの練習でしょ」
「はー…卒業式の練習なん、ホンマ意味分からへんわー」
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