19
「人いっぱい。席見当たらない。僕お腹空いた」
「へっ?あ、お…ぅ」
くいくいと服を引っ張られて睦月は少し顔を赤らめた。
予測の出来ない行動に惑わされっぱなしだ。
「ちょっと、惚けてないで席確保しなよ」
「しゃーない。窓際譲ってもらおーな」
「うん、早く睦月」
お腹と背中がくっつきそうだーと脱力気味にいう雨音に、睦月は席を確保しにいく。
その間も……いや、そんなことをさせたせいで余計に殺気立った。
「ヤヨちゃんヤヨちゃん」
「……………」
「……弥生、弥生」
「なぁに?」
「視線で人は殺されると思うかい?」
これまた自分よりも上にある顔を見上げながら首を傾げる。
その姿と聞いてきた内容に弥生は眉をひそめた。
「………ツラい?」
「ツラくない。…けど、鋭いよね。オタクって嫌われ者?」
「そんなの…見た目で判断するやつばっかだから…」
「ほほぅ…弥生や睦月はなんで僕と友達に?」
「っ……」
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