12
大掛かりに作られた実験装置の中、色んなものが音をたて、不気味に輝いている。
雨音は試験管の一つをとり、今熱しているフラスコの中に慎重に注いだ。
「んんっ、んー…………んん?」
──ボォンッ!!
「ぅぷっ!……ケホッ、うむ…また失敗ですな。これがいけなかったか…」
爆発には動じず、モヤモヤたちこもる煙をペッペと手で払う。
マスクに手袋、そして "オタク" のときに使用していたメガネをつけた雨音は、先ほどと同じものを作るため、せわしなく動いた。
つか……怖いよね。
マッドサイエンティストみたいだよね。
「さて問題です、ババン!ここでこれを入れたらどうなるでしょーかっ」
ジャン!と掲げるは雨音の作った得体のしれない液体。回答者は誰1人いないのに、ンッン、ンンーンとリズムに乗って体を揺らしている。
睦月がいたら絶対こういうだろう。
『なんやこれ、何やこのかわええ生き物ーっ!!』
(………っお…何や、寒気が…)
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