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 うぇーんと目を覆い、泣き出してしまった雨音。呼ばれた睦月は慌てて駆け寄り、雨音を優しく抱き締めた。

 まさかの展開にみんな目が点だ。



「エエやん雨音の好きにさせたればっ!生徒泣かすなん、サイテーやなっ」


「あ゙あ゙!?」


「……ぃっ、や…そのぉ…」


「ちょっと、さっきまでの威勢は何だったわけ?雨音も、泣き真似したって霜月先生は聞いてくれないよ」


「……ちぇっ、いーもんいーもん。僕を止めるものはいないのさっ」



 弥生に指摘され、睦月の腕の中でヘヘンと笑う雨音。

 泣くわけがないのだ。
 それに気づけない睦月は雨音バカなのだ。



 けれど来てくれたことは嬉しかったのか、腕の中で睦月を見上げ、

「ありがとむっちゃん。もう離して?」

 と、口元の笑みを浮かべていったのだ。最後は首を傾げて。



 もう睦月デレデレ。
 離すどころかより強く抱き締め、ぐりんぐりんと頬ずりを始めた。

 雨音の髪がグシャグシャになっていく。



「うっ……おぁ、痛い…」


「かわえーっ!ありがとやて!弥生聞いたかっ?!」


「聞いた聞いた」



(あぁー何で話に入っちゃったんだろ…)

(俺の存在はムシか)



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