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『この前通ったとき、ちょっと臭かったよね』
『うん。あのあと僕、具合悪くなっちゃって…』
『なんか、先生たちが注意しにいったけど、顔真っ青にして帰ってきたらしいよ?』
『あの桜庭卯月も最近近寄らなくなったって聞いたし…』
『担任は誰だよ。マジこえーよ』
雨音が放課後理科室に再び通うようになって4日目。全校にはすでに雨音のことが知れ渡り、そして皆恐れていた。
解剖のときの比じゃない。
何かを作ってニヤニヤ笑っているのだから、それはもう恐ろしいことこの上ない。
噂だって、99%がホントのこととして回っているのだ。それもそれで凄い。
あれだよね、静かなとこだから笑い声は響いちゃうし、窓開けないで色々やるから匂いは籠もって漏れ出すし、失敗すれば爆発するし。
あ、雨音の白衣の一部が焦げたり溶けてるのも恐怖を煽ってるのかも。
「むふふ…今日は何をしてみようかな」
「ねぇ、もう止めたら?その手だってバカな実験のせいでしょ?」
「そや!雨音が傷つくとこなん、見とうないっ」
「……む?傷ついてないのだよ。これはいつか成功のもとになるのだよ!」
失敗は成功のもと、ってね。
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