26
「止めるでない…くっ、僕のことは忘れたまえ。今日までありがとう!」
『ヒヒーンッ』
『モーッ』
え、何急に…なこの状態。
スイスに来て約1ヶ月経ったころのことだ。
いつもの時間に起きた雨音は、朝の挨拶をするでもなく別れを大げさに告げ始めた。
……それに応える動物たち、なんて素晴らしい愛だろう。
「ふむ、よしよし。こんな感じでいーかな」
うんうん、と頷く雨音。
最後に一回ずつ頭を撫で、雨音は部屋へ戻った。
今日は睦月と寝ていたらしい。ベッドの下で寒そうに丸まっている。
──ガタガタ、ガタンッ!
「…ん……何やぁ…?」
「……お、むっちゃんハヨ。んじゃ、僕帰る」
「おーまたなー………ってちょい待ちぃ!どこにやっ」
「帰るといったら日本しかないじゃないか。バカだな睦月は」
「あーせやね、ってやからちゃううう!!何でや、ここはどないなってんねんっ」
「もー…睦月うるさいんだけど…って、雨音?」
「何だその格好…」
バッチリ目の覚めた睦月のうるさいツッコミに、3人が眉をしかめて入ってくる。
けれどやはり雨音を見て動きが止まった。
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