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「あ…あの……」


「うむむ…手が疲れる」



 なにぶん、雨音より背が低い人はいないもので。

 けれどやめるつもりはないらしく、しばらくニコニコした顔で閏の耳を塞いでいた。



「嫌なことは嫌っていっていいと思うんですけど…」


「で、でも雨音君が楽しそうで…」


「おい、俺の耳をやりゃいいだろうが」


「…………」


「……あ、雨音はん?」



 はい、睦月がピッチリ耳を塞いでいるから聞こえるわけがありません。

 そしてようやく雨音の手はダランと垂れ落ち、そのまま後ろにいた睦月にぐでっと寄りかかった。



「ふぅ、いい仕事しやした」


「どこがやねんっ!」


「ふふ、楽しかったですか?」


「うん、閏ありがと」



──ニコーッ


「「っ──///」」


「いいえ、良かったです」



 雨音の滅多にない可愛らしい笑顔に2人撃沈。

 ちなみに次の日、雨音は両腕が筋肉痛になったのはいうまでもない。
 ……普通はならないけど。







──トンテンカン、トンテンカンッ


 リズムに乗ってトンカチの音が鳴り響く。



「ぎゃ、いった!」


 ……ついでに睦月の悲痛な叫びも。




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