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「あ…あの……」
「うむむ…手が疲れる」
なにぶん、雨音より背が低い人はいないもので。
けれどやめるつもりはないらしく、しばらくニコニコした顔で閏の耳を塞いでいた。
「嫌なことは嫌っていっていいと思うんですけど…」
「で、でも雨音君が楽しそうで…」
「おい、俺の耳をやりゃいいだろうが」
「…………」
「……あ、雨音はん?」
はい、睦月がピッチリ耳を塞いでいるから聞こえるわけがありません。
そしてようやく雨音の手はダランと垂れ落ち、そのまま後ろにいた睦月にぐでっと寄りかかった。
「ふぅ、いい仕事しやした」
「どこがやねんっ!」
「ふふ、楽しかったですか?」
「うん、閏ありがと」
──ニコーッ
「「っ──///」」
「いいえ、良かったです」
雨音の滅多にない可愛らしい笑顔に2人撃沈。
ちなみに次の日、雨音は両腕が筋肉痛になったのはいうまでもない。
……普通はならないけど。
◆
──トンテンカン、トンテンカンッ
リズムに乗ってトンカチの音が鳴り響く。
「ぎゃ、いった!」
……ついでに睦月の悲痛な叫びも。
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