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「おぉう、風がキモチーッ」
『ヒヒーンッ』
「ふはは、良いよ良いよ」
脚の筋肉の凄い、大きな馬に乗る小さな雨音。
不釣り合いな絵だけれど、なぜかプロのように雨音は馬を乗りこなしていた。
ちなみにこの馬、雨音しか乗せてくれないらしい。
以前雨音と乗りたがった睦月を、見事後ろ脚で蹴飛ばしたのだ。
「俺も馬乗りたいわー…」
「雨音が特殊なだけでしょ」
「弥生かて乗りたそうにしとったんに」
「……何か、いった?」
「ひっ、いっとりません!」
ログハウスの中から羨ましそうに見つめる睦月。
こちらに来て日が経つにつれ、悲しいかな、雨音との距離は広がるばかり。
それは睦月に限らずだけれど。
「ふはー楽しかった。僕満足」
「次は俺の上に乗って乗馬でもするか?」
「……ほぅ、それは興味深いですな…具体的にはどのように、」
「雨音君は知らなくていいことです。いくら一回関係を持ったからって、皐月もバカなことはいわないで下さい…」
「ギャアアー俺の雨音が汚れてまうーっ」
やめてーと雨音の耳を塞ぐ睦月。
それが面白かったのか、雨音も目の前にいた閏の耳を塞いだ。
固まる閏。
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