20
つまり、2日に一回は敷き布団で寝ることになる。
固い床に嘆き、愛しい雨音を遠くで見つめながら。
ええ、雨音がベッドを譲るはずがありません。
「………お、いいこと考えやした」
「何だ?」
「さっちゃんとむっちゃんがいっし「却下だふざけるな」……ちぇ、せっかく考えたのに」
「はぁ…好きだ、雨音」
「んー…僕も金持ちさっちゃん好きー僕馬もほしー」
「……は?」
「ふはは、馬に乗って高原を駆け回るのだよ。乗馬なのだよ」
馬うまーと皐月の服を握って上目遣いで見てくる雨音。
──ズキュンッ
皐月の心にハートの弾が撃ち込まれた。
100のダメージ。
「………ん…」
「雨音?」
「……スースー…」
「も、もう寝たのか……っと、ヤベ」
ヒュンッと飛んでくる雨音の腕を避け、イスに座って寝顔を見つめる。
恋は盲目、だろうか。
こちらもまだまだ諦めきれてない皐月でした。
◆
さらに日にちは過ぎ、スイスに来て20日目。
なんと雨音は馬に乗って高原を駆け回っていた。
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