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「……ねぇ雨音、どうしてスイスなわけ?」


「んっ?」


「スイスっていうか…住むことにハマるっておかしくない?」


「チッチッチ、甘いのだよ弥生くん。僕は何もスイスにだけハマったわけじゃないんだよ」


「うわ、言い方ムカつく……けど、じゃあ何?」


「ハ●ジにハマったのだよ…!!」



──キラキラキラ…ッ



 グッと手を握って目を輝かせる雨音に、期待をし過ぎた弥生は盛大にため息をついた。

 徐々に黒いオーラが出てくる。



「おぉう…牛さんたちが逃げてゆく…」


 弥生のオーラに怯える動物たち。
 親衛隊なんかよりよっぽど頭が良さそうだ。



「ヤヨちゃんヤヨちゃん」


「………」


「ついて来て楽し?」


「……え、」


「弥生と閏、何もしてない。せっかくなのにツマラナくない?」



 コテン、と首を傾げて弥生を見つめる。特にすることもなく、たまに都心部へ出掛けるだけ。

 雨音は毎日楽しいけれど、弥生たちは…?



「はぁ…楽しくなかったら帰ってるよ」


「ふむ、なら良しとしよう」


(全く、気を使ってないようで使ってるなんて)




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