18
「……ねぇ雨音、どうしてスイスなわけ?」
「んっ?」
「スイスっていうか…住むことにハマるっておかしくない?」
「チッチッチ、甘いのだよ弥生くん。僕は何もスイスにだけハマったわけじゃないんだよ」
「うわ、言い方ムカつく……けど、じゃあ何?」
「ハ●ジにハマったのだよ…!!」
──キラキラキラ…ッ
グッと手を握って目を輝かせる雨音に、期待をし過ぎた弥生は盛大にため息をついた。
徐々に黒いオーラが出てくる。
「おぉう…牛さんたちが逃げてゆく…」
弥生のオーラに怯える動物たち。
親衛隊なんかよりよっぽど頭が良さそうだ。
「ヤヨちゃんヤヨちゃん」
「………」
「ついて来て楽し?」
「……え、」
「弥生と閏、何もしてない。せっかくなのにツマラナくない?」
コテン、と首を傾げて弥生を見つめる。特にすることもなく、たまに都心部へ出掛けるだけ。
雨音は毎日楽しいけれど、弥生たちは…?
「はぁ…楽しくなかったら帰ってるよ」
「ふむ、なら良しとしよう」
(全く、気を使ってないようで使ってるなんて)
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!