13
「お前…いつ起きたんだ?」
「ずっと前なのだよ。さぁ早くしたまえ」
「これ、雨音君が?」
「イエス。心して食べたまえ」
「……シンプルすぎるでしょ…」
「夢でした。こんな生活するのが…!」
そのためにスイスに来たのだから。
雨音はみんなが座るのも待たず、パンを一口かじった。
とろーりチーズがいい感じ。
「ふはは、うまス。僕天才」
「もう仕事してたんですか?」
「そうなのだようーちゃん。この後はブラシをかけてエサあげるらしいですよ」
……ということでさっそく。
ただ、弥生は本当にやらないらしく、観光に出て行ってしまった。
困り果てた閏を連れて。
なので3人で面倒をみます。
「くせぇ……」
「むっちゃんは羊、さっちゃんはヤギよろしく」
「とかせばええん?」
「ええん。優しーく優しーく……抜けた毛はお持ち帰りするから捨てないよーに」
むふふ、と含み笑いをする雨音に2人は少しだけ顔を青くした。
あの笑いはよくない笑い。
ゴシゴシとブラシをかける。
雨音にちょっかい出すと動物が蹴りを入れる。
1日で気に入られた雨音。
「あっはっは、天才の子は天才」
「自分でいうか、それ……」
「もうイヤや、雨音とラブラブしにきたんにーっ!」
「いーチチ出すんだぞっと」
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