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─冬樹side─



「朱雀……………朱雀」



かっこよくて、
いい名前だと思う。



初めて呼んだそれに、
あなたは凄く嬉しそうな顔をした。


名前を呼んだだけなのに。





その顔をもっとみたいと思ってしまった。






あなたと見た桜は、
凄く綺麗に見えた。

そう思ったのは初めて。



何で、とは思わない。


あなたとだから。



「好き……です」



資格がないのは分かってる。


でも……後少しだけ、
体が保つ少しの間だけワガママをいいですか?



もう俺の中はあなたでいっぱいなんです…。



「やっぱり来ちゃったわ……え、冬樹?」


「…………………」


「泣いて…るの?どうしたの?」


「俺の病気は、いつ…治るの?」

「っ……」

「病院から出ちゃ、いけないの…っ」


「冬樹…」



その日、10年振りくらいに笑って、涙を流した。


生きるのって、
こんなに大変で疲れるものだったんだ…。






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あきゅろす。
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