■
─冬樹side─
あの人は、
俺のことを知りたいと言った。
俺に知って欲しいといった。
なんでだろう。
好き?
何で?
嬉しい?
俺はもうじきいなくなるのに…。
「冬樹…あまりここを出て行かないでちょうだい?」
「………………」
「最近熱を出すことが多いわ」
それは多分、免疫力が落ちてるからじゃない。
それは多分、いつもあの人のことを考えているから。
そして……俺は、
あの人が来るのをいつも待っているから。
でもあの人のことを知りたい訳じゃない。
ただ横にいてくれれば、
なぜかそれで幸せだったから。
俺が質問するのは、
あなたが知って欲しいといったから。
………声が聞きたいから。
「お母さん…」
「ん?なぁに?」
「マフラーが、欲しい」
「!?わ、分かった。明日必ず持ってくるわ!」
外はまだまだ寒い。
暖かい格好をしなきゃ、いけない。
無関心で…
……………いられない。
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