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好きなものは、ない。
興味なんて当の昔に、
消えてしまったから。
どうしてもあげろというなら、
ここの料理は美味しいと思う。
「真っ、赤だな…真っ赤だな…」
やることもないときは、
なんとなくテレビをつけて外を見る。
11月も終わる今、
真っ赤な葉は下に落ちてしまっている。
俺は、まだ残っている数枚を、ただずっと眺めていた。
ふ、と時計を見ると、
もうすぐ彼が帰ってくる時間だった。
のそっと起き上がり、
コーヒーをいれる。
彼が望んだ、俺の習慣。
なくていいのに、
やめて欲しいのに、
俺はあなたに甘えてしまう。
「ただいま。帰ったぞ」
「お帰りトモさん。はい、コーヒー」
「ああ、いつもすまないな。……ってまだ制服着てたのか」
「あ…うん。ずっと外見てた」
「…………そうか」
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