■
──ガチャッ
「………ただいま」
返事はない。
俺は、理事長に頼んで特別な部屋を与えてもらった。
寮官室。
1階の、保健室の横にある部屋。
保険医兼、
主治医兼、
寮官の彼と一緒に住んでいる。
気を失って、
気づかれなくては困るから、と。
実際そうなのだが、
別に絶対人がいなきゃいけない訳じゃない。
知らない内に意識は戻るし。
………でも、
他の奴と一緒というのが嫌だったんだ。
俺を気にしない奴ならいい。
だけど市原のような奴だったら?
考えたくも、ない。
彼が帰ってくるまで、
俺は暇になる。
課題なんて、
他の授業中にやってしまってるから。
30分もあれば終わるから。
料理は、出来ない。
誰も教えてくれなかったし、
やらせてくれなかった。
別にそれでいいと思う。
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