■ 「まぁ…何もないならいい。ほら、メシ食って風呂入るぞ」 「うん。トモさんは1人でお風呂入れないからね」 「は…、ちげぇよ。お前が気を失って溺れないように、だ」 「…………うん、知ってる」 「んな顔するな。もっと笑っとけ」 それはそれは、 壊れ物を扱うように俺の頭を撫でた。 "悲しいまま死ぬな。 笑って楽しかったといえるような、そんな生き方をしろ。" ずっと、 ずっとそう言われてきた。 だから、 トモさんの前ではなるべく笑うようにしてる。 でもトモさん。 ほんとは俺、 この笑顔をあなたにも覚えてほしくないんです。 「背中流してあげるー」 「……今日はどうした。いつもしない癖に」 「したかったから。それとも、嫌?」 「嫌じゃねぇよ。頼む」 [*前へ][次へ#] [戻る] |