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「…あ、あの人ハンカチ落とした…」

「ちょうどいい、経理、いけ」

「ふむ、僕の出番というわけか。彼女は必ず引っかかるだろう。なにせ全て計算し尽くした僕がやるのだか、」

「早くいけ、他のやつが拾っちまうだろ」

「…いってこよう」



話を遮られたことにムッとしつつも、今度は経理が動き出す。落としたハンカチを拾い、声をかけ渡した。ありがとうとお礼をいう女性に、経理から一言。



「下着が丸見えだ、気をつけた方がいい」

『嘘っ!?えっ、…あれっ?』

「下ではない、上だ」

『上って、待って下さ、…あっ!?』



立ち去る経理を止めようとして、女性は背中の文字を読み脱力してしまったようにその場にしゃがみ込んでしまった。けれどすぐ復活をし、駆け寄ってきた友人にあったことを笑いながら話していて。

蒼は、怒られなくてよかった、なんて思いながら撮影を一時停止させた。



「部長は騙しにいかないの?」

「俺がやると思ってんのか。監督だ、監督」

「うわぁ勝手ー。でも…監督とか部長似合う」

「分かってんじゃねぇか」

「蒼くんはカメラマンになるより撮られる方が似合うと思いますよ。今度撮ってあげましょうか。イイ顔、見せて下さいね」


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