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(離したく、ない)
冗談でもいい、もう少し、もう少しだけこのまま手を繋いでいたいと蒼は切に願った。しかしその願いは叶うことなくあっという間に次の場所につき、手を離されてしまった。
「っ…ケホッ、はぁ、コホッ」
「あ?…おい大丈夫か?んな歩くの早かったか?」
「ん、ちが、…っ、大丈夫何でもない」
「…、早いときは早いっていえ。いいな」
「うん。…部長やっさしーい」
茶化せば額を小突かれてしまったが、その優しさが嬉しくて、まさか動悸が激しすぎて発作が起きましたなんていえない蒼は、へらりと笑って今咳をした理由を必死に誤魔化すのであった。
「爆弾だ!爆発するぞ!」
『『うわぁああっ!?』』
◆
「蒼ーオレやばいよドッキリはまりそう…っ」
「分かる!テレビで見んのもいいけど、騙す側になんのも楽しいよね」
「こ、こんなことほんとはいけないはずなのに、どうかバチが当たりませんようにっ」
「ビビりすぎたっくん」
創立祭2日目は無事終了した。総合部のドッキリは全校に知れ渡り、最後は見物人まで出てきたほどだ。明日は一般客にドッキリを仕掛けることになる。
騙す快感を知ってしまった蒼たちは、明日が待ち遠しくて仕方なかった。
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