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まぁ元より冗談のつもりだったのだから軽く押しただけで朋也はすぐ離れたし、今も怒っている様子など微塵もない。

蒼はこの隙に慌てて起き上がり、身なりを整えて襲ってきた咳に落ち着いていつもの対処をした。



「ケホ、…はぁ。トモ先輩もうやめてあげて下さい。たっくんマジ泣きしそうです」

「たっくん弱いですねぇ、見た目と違い」

「うぅぅうっ、こわ、怖かった…!」

「てか、ああいう冗談はほんとやめて下さい。おれみたいな平凡でしても楽しくないでしょう…?」

「そんなことないですよ。蒼くんはとても可愛らしいです」

「…が、眼科をお勧めします…」



あっさりと戻ってきてお茶を飲み、さらりという朋也に蒼は抱きついてくる拓の頭を撫でながら若干身を引いた。自他共に認める平凡顔を可愛いだなんて…きっと、目が物凄く悪いに違いない。

それから朋也はしばらく居座り、ようやく帰っていった。すると一気に張っていた気が緩み、2人はソファーに脱力する。なんだかそれがおかしくて、笑えてきた。



「もーなんでトモ先輩連れてくんだよー」

「ついてきちゃったんだよぉぉ。はは、怖すぎだしあの人…っ」

「ふはっ、やっぱそう思うよな?さすが元ヤン…」

「オレも自称…じゃなくて他称?チャラ男なヤンキーだしぃ?」

「たっくんは怖くないしぃ?」

「ま、マネしないで下さいぃ」


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