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「…体育だったのか」
「おー。もしかして豊次か?」
「チッ、めんどくせぇ。やらねぇよサッカーなんざ。サボりだサボり」
「えーやんねぇの!?もったいねー!」
「んだよ、アオだってやってねぇだろ。…同じだな」
ニヤリ、と口の端を持ち上げ笑いかけてくる豊に、ついキョトンと見つめ返してしまう。
同じ、なわけない。
理由が違いすぎる、けれど。
「うん、同じだ」
多分今、豊は気を使ってくれた。落ち込んだ蒼を、体育が出来なくてそうなったととって、慰めてくれたのだ。
蒼はそう捉え、その優しさに気分を浮上させながら笑顔で頷いた。
「あ、…と、拓はいねーの?つか一緒に行動しねぇのか?」
「あ?…あー…あいつといるとうぜぇだろ。一緒にはいたくねぇ」
「ひっで!そりゃ確かに最近より女々しくなったけど…」
「それもだが、周りだ周り」
「「あー…」」
拓のチャラ男振りは周りの子猫チャンを呼び寄せるらしく、常に可愛い子たちに囲まれている。一緒にいれば豊もそこに巻き込まれるのは確実だ。一緒になどいれるはずがない。
きっと今もどこかで囲まれ、泣きそうになりながら相手してるんだろうな…。そう蒼は思い、心の中で小さく合掌した。
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