繋がる
「幸作ほんと凄い、シュート2回も決めてたな」
「へへん、もっと誉めてもいいんだぜっ」
「はは、幸作かっこいー。…ほんと、幸作見てると走りたくなるくらい楽しそうだもんなぁ」
「…蒼…」
体育でサッカーをした帰り、見学をしていた蒼は幸作の活躍を本人に誉め伝えていた。楽しそうに元気よく走り回る姿は、蒼の心をくすぐる。
走りたい。
一緒にサッカーがしたいと、忘れていたはずの気持ちを呼び起こしてしまうほどだ。
その気持ちを聞いて幸作は少し複雑そうな顔をするが、あ、と嬉しそうに声をあげた蒼の視線の先を見て、もっと複雑そうな顔をした。
「部長だ」
「…あ゙?…アオ、と、幸作か」
「俺ついで!?つか…相変わらずの人気っぷりだことで」
「うぜぇだけだろ。ギャンギャンギャンギャン…」
((メッチャクチャ不機嫌…))
豊の周りに集まるクラスメートを睨みつけるも、こっちを見てくれたと大騒ぎするだけ。今は蒼たちと話しているからか先にいってくれたが、どうせまたあとで群がってくるのだろう。
ため息をつく豊に、改めてその人気を思い知らされた蒼は、少しだけ悲しそうな顔をした。
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