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「は…っ、落ち着いたかよ」

「は、はぁっ!ケホッ、…ぁ、あ…っ///」

「っ…チッ、ここに隠れてろ。探してきてやる」

「え、まっ、ぶちょ、…ゲホッ!はっ、はっ」

(…な、んで、キス…ッ)

(くそ、あの顔は反則だろっ)



まだ息が整わず、走っていく豊を追いかけることが出来ない。蒼は少しでも呼吸を落ち着かせようとするが、どうしても先ほどのことが頭から離れていかず、呼吸が乱れてしまう。

だが豊もまた、動揺していた。キスをしたことにではなく、息苦しさで涙目になった、その蒼の表情に、だ。初めて会ったときもその涙目に目を奪われた。平凡な顔が、一気に色気を増す瞬間。



「…あ゙?チッ、やっぱここか」



見つけた。トイレの、窓の下で。ここから出てきたときに落としたのだろう。だから大人しくしてろっていっただろ、とボヤきながらも豊はそれを拾い、蒼を待たせている場所へ戻ろうとした。

…だが。



『見つけたぜ…っ!』

「、めんどくせぇ」



校庭を走っていた生徒に見つかり、豊は走り出す。同じ1年同士。追いかけてもいいのだが、だがもしその間に蒼の発作が酷くなったりしたら困ってしまう。

何だかんだいいつつ蒼には甘さを見せる豊はひとまず逃げ、蒼が見つからないよう気をつけながらそちらに向かった。そして、その蒼は。


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あきゅろす。
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