21 よりが戻ったその日に、蒼は幸作を呼び出し、別れを切り出した。ワケを話せば幸作はツラそうな顔をし、けれど笑顔でいようと空元気な姿を見せてくる。 ここ最近の蒼を見ていたら、なんとなく予想はついていた。 豊を目で追い、一つ一つの仕草にほんのり顔を赤くして。 いや、始めからそうだ。 きっと豊を忘れた日なんて、1日もないのだろう。 「おれ…幸作がいてくれてほんとよかった。寂しくなかったし、いっぱい優しくしてもらえたし」 「…おう」 「こんなこというのは卑怯だって分かってる。幸作を傷つけてることも分かってる。でも…これから先も、友達でいてほしい」 「友達、な…」 都合のいいことをいっているのは十分分かっているが、それでも蒼にとって幸作も大事な人なのだ。 だから、友人としてこれからも付き合っていけたらいいなと思った。 しかしふと視線を外した幸作を見て、蒼はいってはいけないことをいってしまったと思い、謝ろうとして…驚いた。 「なーにいってんだよ、蒼!俺らは親友だろっ?」 「こ、さく…」 「ったく、んな顔すんなって。それに…責めるなら豊のやつトコトン責めてやるしな」 「え、豊?」 「だってそうだろ?あいつがフラフラしなきゃよかったわけだし、一発殴んねーと気がすまねー!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |