[携帯モード] [URL送信]
20 A:豊
「っ…お、れ、おれは…」



ぎゅ、っと目を瞑る。
好きだといわれ、蒼が心の底から感じたのは…歓喜、だ。嬉しくて、全身が熱くなり、心臓がうるさく音をたてる。

そんな姿も見られているのが熱い視線で分かり、蒼はふるりと体を震わせた。



「…アオ」

「っ、…で、でも、豊には柚木くん、が」

「別れる。…アオの応えがどうであれ、あいつとはもう付き合えねぇからな」

「おれが好き…だ、から?」

「ああ、そうだ」



花梨には悪いけど、と。
けれど蒼にも、幸作がいる。いつも蒼のことを想ってくれ、側にいて優しくしてくれた幸作が。

…そう、思うのに。
蒼の心は、やはり初めから決まっていて。



「ゆ、たかのバカ…ッ!なんで、何で今頃…っ、おれがどんだけツラい思いしたと思ってんだよぉ!」

「…悪かった」

「ゔぅ、…好き、おれも豊が好きっ。次浮気したらほんと許さないし…っ」

「クク、アオもな。もう…離してやんねぇよ」



近づく2人の距離はやがてゼロになり、蒼も豊も、それはそれは幸せそうな顔を浮かべるのであった。







「…そ、か、豊と…」

「…ご、ごめんな、幸作。おれ、ほんとに幸作のこと、利用したことに…」

「謝んなって、代わりでいいっつったの俺だし?まぁなんとなくそんな気ぃしてたしさ、しょうがねぇって」


[*前へ][次へ#]

20/27ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!